CLUB DEEP DIVE ・ TEMPORADA 2026/27

レアル・マドリード
完全ガイド

UEFAチャンピオンズリーグ史上最多15回、リーガ史上最多36回優勝という「欧州の王者」。2026年夏、モウリーニョが13年ぶりに電撃復帰した激動のシーズンを、選手名鑑からまとめた。

Real Madrid CF
Real Madrid CF
マドリード ・ 創設1902年

どんなクラブ?

レアル・マドリードCFは1902年3月6日、パドロス兄弟らによって「マドリード・フットボール・クラブ」として創設された。1920年、国王アルフォンソ13世から「レアル(王立)」の称号を授与され、現在の名称となった。

ユニフォームが白一色なのは、創設者たちがイングランドの名門アマチュアクラブ、コリンシアンFCへの敬意から白を選んだという説が広く知られている。

クラブ・会員(ソシオ)・支持者のアイデンティティ全体を指す言葉が「マドリディスモ」。応援歌「ハラ・マドリード」はクラブ創立100周年の2002年に正式採用され、プラシド・ドミンゴも制作に関わり世界的に広まった。

ライバルはFCバルセロナとの「エル・クラシコ」、そして同じマドリードを本拠地とするアトレティコ・マドリードとの「マドリード・ダービー」。特にエル・クラシコはスペイン内戦後の中央集権対カタルーニャ自治という政治的背景も絡み、単なる一クラブ同士の対戦を超えた意味を持つ。

基本データ・史上最多のタイトル

創設
1902年3月6日
本拠地
サンティアゴ・ベルナベウ
愛称
ロス・ブランコス/ロス・メレンゲス
CL/欧州カップ優勝
15回(史上最多)
リーガ優勝
36回(史上最多)
コパ・デル・レイ
20回

サンティアゴ・ベルナベウは2019年から2024年にかけて約17.6億ユーロをかけて大改修。ステンレス外壁と可動屋根、収納式ピッチを備えた最新鋭スタジアムに生まれ変わった。クラブは正式な最終収容人数を公表していないが、報道で最も広く引用されているのは83,186人

監督:ジョゼ・モウリーニョ(電撃の13年ぶり復帰)

2026年夏の最大のニュースが、モウリーニョの監督just復帰。1963年1月26日生まれ、ポルトガル・セトゥーバル出身の62歳(就任時点)。2026年6月11日にクラブ理事会で正式決定し、2029年6月末までの3年契約を結んだ。

前任のシャビ・アロンソは就任1年未満の2026年1月12日、スーペルコパ・デ・エスパーニャ決勝でバルセロナに敗れた直後に解任(クラブ発表上は「合意による退任」)。その後カスティージャ(Bチーム)監督だったアルバロ・アルベロアが暫定指揮を執り、無冠のままシーズンを終えていた。

モウリーニョは2010-2013シーズンにも一度レアルを指揮した経験があり、今回が13年ぶりの復帰となる。ポルト(2002-2004、UEFAカップ・CL優勝)、チェルシー(プレミアリーグ複数回優勝)、インテル・ミラノ(2008-2010、セリエA2連覇・CL優勝)、その後マンチェスター・U、トッテナム、ローマ、フェネルバフチェ、ベンフィカと渡り歩いてきた。ポルトとインテルという異なる2クラブでCLを制した数少ない指揮官の一人でもある。

チームのプレースタイル

① 高強度プレッシングと縦への速さ
実質開幕戦となったエスパニョール戦では、序盤から強度の高いプレッシングと縦に速い攻撃を志向。アルダ・ギュレルの機動力と右サイドの活用が目立った。

② 二人の司令塔を並べる可変システム
ダブルボランチ(バルベルデ、ベルナルド・シウバ)の前に、アルダ・ギュレルとベリンガムという2人の攻撃的MFを並べる編成。伝統的な「モウリーニョ流」の堅守速攻とは一味違う、才能を前に並べる布陣が特徴。

③ まだ発展途上の中盤コントロール
現地メディアの論評では「才能には秩序が必要」と指摘されており、中盤の制御に課題を残し失点機会も許している。個の力で勝ち切っている試合が続いている、という評価。

④ ベリンガムの「アンカー化」とヴィニシウスの守備タスク
アンチェロッティ、シャビ・アロンソ両体制では、非保持の時間帯にベリンガムが最終ラインまで下がって4-4-2を形成する守り方だったが、モウリーニョ体制ではその形をほぼ採用していない。代わりにベリンガムは中央に残ってバルベルデ、ベルナルド・シウバと共に厚みのある中盤を作り、逆にヴィニシウスには「自分のサイドは自分で守れ」という明確な守備タスクが課されている。中盤の強度を高める狙いがある一方、ヴィニシウスが守備に追われる分だけ空くスペースを相手にどう突かれるかは、CLなど格上との対戦で試される今後の焦点とされている。

この設計変更の狙いは単純で、昨シーズンまではムバッペとヴィニシウスが揃って守備をサボる分のしわ寄せがベリンガムに回り、本来なら得点に直結する才能が「ヴィニシウスの穴埋め」というもったいない仕事に消費されていた。今季はヴィニシウス自身に最低限の守備の帰陣を求めることで、ベリンガムを中央に留め、ボックス内へ遅れて飛び込む“もう一人のストライカー”のような形に戻す狙いがある。これはベリンガムが加入初年度に見せた躍動そのものであり、開幕から数試合はその狙い通りの結果が出始めている。

積年の課題:エムバペとヴィニシウスの共存

アンチェロッティ、シャビ・アロンソ、アルベロアと、歴代の指揮官が誰一人として解決できなかった問題——それが守備をしないエムバペとヴィニシウスをどう同時起用するか。2人がプレスに参加しない状態ではチームとして機能しないことは、2026年W杯でも露呈した課題として指摘されている。モウリーニョがこの積年のテーマにどう向き合うかが、シーズンを通した最大の注目点になっている。

過去にモウリーニョはCL決勝でヴィニシウスのゴールセレブレーションを痛烈に批判し、公の場で謝罪しなかった経緯がある。それでもヴィニシウスがこの夏レアルに残留したことは、現地関係者の間でも意外感を持って受け止められた。

もっとも、この夏で構図は大きく変わったとされる。ムバッペがW杯で圧巻の活躍を見せたことで、クラブ内・ロッカールーム内の序列は「ムバッペが上」という形ではっきり定まり、契約延長交渉を抱えるヴィニシウス自身もその序列を受け入れたと見られている。昨シーズンまでピッチ上でくすぶっていた主導権争いが解消されたことで、今季は互いに張り合うのではなく、素直にパスを出し合い得点に絡み合う場面が増えるのではという期待が出ている。

中盤補強への物足りなさとポジション争い

ファンやメディアの間では、かつてのクロース・モドリッチ・カゼミロのようなゲームメイク力のある中盤補強を望む声が根強かったが、獲得できたのはベルナルド・シウバ1枚に留まった(本命だったロドリはマンチェスター・シティに残留)。モウリーニョ自身、プレシーズンの時点でベルナルド・シウバのコンディション作りについて公然と苦言を呈するなど、早くも指揮官らしい厳しさをのぞかせている。

ロドリ獲得が流れたことで、ベルナルド・シウバには一枚看板ではなく「クロース+モドリッチ」2人分の仕事を1人でこなすような役回りが期待されている。ギュレルと共に低い位置からゲームを組み立てる場面も多く、開幕戦から目立った補強選手はディオマンデよりもむしろこのベルナルド・シウバだ、という現地の見方もある。

右サイドバックはトレント・アレクサンダー=アーノルド(精密な右足キックと展開力が持ち味の「浪漫型」)とドゥンフリース(守備の安定感が持ち味)の一騎打ちになる見込み。モウリーニョがどちらを重用するかも注目のポイント。もっとも2人とも攻撃面の質は折り紙付きな一方、対人守備で図抜けているタイプとまでは言えないというのが大方の評価で、最終ラインの質そのものは各ポジションに控えを揃えて底上げされているものの、個々の1対1がどこまで通用するかは10月のクラシコで本当の意味で試されることになりそうだ。

変わったモウリーニョ?——就任会見の柔らかさ

就任会見でモウリーニョが記者に「水は飲むか、大丈夫か」と気遣いを見せ、周囲を驚かせた。かつての強面のイメージとは違う柔和な立ち振る舞いに「丸くなった」という声も出ているが、これも計算されたメディア対応の一環という見方もあり、今後の会見でどちらの顔を見せるかが注目されている。前政権時代に見られたロッカールーム内の不和・情報リークのような問題を、モウリーニョは一切許容しない姿勢を鮮明にしている。

「新しいモウリーニョか、それとも昔のモウリーニョか」と問われた際、本人は「穏やかな部分もあり経験値も積んでさらに良い監督になっていると思う。でも元々のモウリーニョもちゃんと持っている」と回答。柔らかさと従来の鋭さを使い分ける、計算されたコメント運びを見せている。

クラブは今シーズン、監督・選手の入団発表に関して一切外部メディアを入れない新方針を採用。会見はクラブ公式の「レアル・マドリーTV」でのみ放送され、記者は入室不可という異例の運用になっている。フロレンティーノ・ペレス会長らしい独自路線として話題を呼んだ。

エスパニョール戦の先制点はセットプレイからだったが、決まった直後にモウリーニョ自身がセットプレイ担当のコーチングスタッフのもとへ真っ先に駆け寄って称える場面があった。かつては「戦術は全部自分の手柄」というワンマンなイメージが強かったモウリーニョだが、今は分業を進めてコーチングスタッフに仕事を任せ、その成果をきちんと称える姿勢を見せている点も、変化の一つとして受け止められている。

2010-2013年の前政権期のモウリーニョといえば、"なぜだ(¿Por qué?)"という言葉が飛び出した名物会見や、ロッカールーム内の情報漏洩を疑って選手を名指しで批判した「スパイ(topo)」騒動、当時バルセロナのアシスタントコーチだったティト・ビラノバの目を突いた一件など、常に対立と火種を伴うキャラクターだった。開幕2試合を終えた時点での現地の論調は「あの頃より明らかに丸くなった」というもので、ヴィニシウスのような気性の強い選手と向き合う上で、むしろこの変化がプラスに働くのではという見方が出ている。

基本フォーメーション:4-2-3-1(ベリンガム・トップ下システム)

モウリーニョ体制のベースは、ベリンガムを中央のトップ下に固定した4-2-3-1。バルベルデとベルナルド・シウバの2ボランチが中盤を構成し、両ウイングにヴィニシウスとディオマンデ、最前線にエムバペを置く。控え層も含めた想定布陣は以下の通り。

※開幕から数試合の起用実績と現地報道をもとにした予想布陣であり、対戦相手やコンディションにより変動します。

ヴィニシウスの変化——「独走」から「連係」へ

この夏、契約延長の話が二転三転する中でレアル残留を選んだヴィニシウス。モウリーニョ体制の2試合では、これまで代名詞だった単独ドリブル突破を抑え、ムバッペや新加入の左サイドバック、ククレジャとの連係を優先する場面が目立つ。従来の左サイドバックのメンディよりもククレジャとの呼吸が合っているとの評もある。

ソシエダード戦のムバッペのハットトリック超え4点目の場面では、持ち前のスピードで仕掛けず、あえてボールを持って溜めを作り、フェイントを一つ入れてからムバッペへスルーパスを通す組み立てを選択。まず味方を使う選択肢を優先する姿勢が、これまでとの違いとして注目されている。

ヴィニシウスが長年守備をしてこなかった理由については、単純な運動量や意欲の問題ではなく、育成年代で守備の立ち位置やプレスの角度といった基礎を教わってこなかったこと自体が原因、という見方が有力視されている。つまり「やらない」のではなく「やり方を知らない」に近いという分析。その意味で、選手を持ち上げて気分良くプレーさせるモウリーニョ流の“甘やかし”の采配は相性が良く、最低限の守備タスクをこなす今の姿勢にもつながっているとされる。ただし、これはあくまで結果が出て機嫌よくプレーできている今だからこそ成立している面もあり、実際にベンチに回された時にどう反応するかは、今の段階ではまだ未知数のままだ。

選手名鑑の見方

Transfermarkt(2026-27シーズン)をもとに作成。2026年夏はイブライマ・コナテ、ベルナルド・シウバ、ヤン・ディオマンデ(RBライプツィヒからクラブ史上最高額級との報道)ら大型補強が続き、フロレンティーノ・ペレス会長承認の総額約5億ユーロ規模の補強と報じられている。無冠が2シーズン続いたことへの危機感の表れとの見方もある。

この補強を賄う財源として、トップチームデビュー前の下部組織(ラ・ファブリカ)出身の若手選手を10人以上放出したことも話題になった。育成ブランドとしてのレアルの評価の高さを裏付ける形で、無名の若手にも高値がついたとされ、買い戻しオプションや将来の移籍時の売却益一部還元条項を付けるなど、クラブらしい抜け目ない契約設計も併用しているという。

GK ゴールキーパー
DF ディフェンダー
MF ミッドフィールダー
FW フォワード